年齢に縛られない時代
これまで67年の人生を振り返って思うのは、人生で実現したいことの何もかもを若い時期につめこむ必要はないということ。これは女子学生たちにも、ナイジェルの娘たちにもよく伝えていることですが、私の30代後半からの十数年間は、仕事と子育てに忙殺されて余暇を楽しむ余裕なんてありませんでした。
でも、60代になったいまは、そのときにできなかったことをすべて実現しています。夫と観劇、スポーツ観戦と忙しい日々を送り、2022年の年末にはアフリカのナミビアへ旅行する予定です。長い人生、子育てに没頭する時期もあれば、社交や文化を楽しむ時期があってもよいのです。
逆に言えば、「自分の人生で最も仕事で多忙な時期が60代」だってかまわない。『ライフ・シフト』でもお伝えしたとおり、教育→仕事→引退という3つのステージ(過程)に分かれていたこれまでの人生は、長寿時代には多彩な選択肢を持つ「マルチステージ」へとシフトしていきます。
3ステージの人生では、「何歳までに何をやらなくてはならない」と決められていましたが、マルチステージの人生では、年齢にしばられず、何歳からでも何かを始められます。
人生100年時代が素晴らしいのは、1つの時期に「これができなかった」とあきらめる必要がないこと。100年もあれば、必ずできるときが来ます。