普通に歩くだけで、実は体重の3倍の負荷が股関節にかかっているとのことで――(写真提供:photoAC)

年齢を重ねるとともに股関節に問題が起きるリスクも高くなります。変形性股関節症や関節リウマチなど日常生活に大きな支障をきたす症状が身近に潜む一方で、40~50代の方の中には、違和感があっても病院に行かない方も多いと思います。東京大学大学院医学系研究科整形外科学の田中教授いわく「いつまでも元気に歩くためには、正しい知識を持って症状が軽いうちから養生することが大切」とのこと。今回は、股関節に悪影響を及ぼす習慣や股関節の健康状態をチェックする、股関節力テストのご紹介です。

長い年月のクセが股関節に影響する

日本における変形性股関節症の原因は、ほとんどが形成不全などの既往症(きおうしょう)によるもので、日常の動作が直接的な原因となることは少ないとされています。健康な股関節を持った人が、日常動作の影響で急に悪くなるということは、ほとんどありません。

しかしながら、股関節はゆっくりと時間をかけて悪くなっていくケースが多いため、もともと日常に支障はないレベルの形成不全があった場合に、負担のかかる姿勢や動作を続けていると、少なからず影響は出てくるものと考えられます。

普通に立つだけでも、股関節には体重の負荷がかかっています。片側だけで体重の3~4割がかかるとされ、その負担は小さくありません。

例えば、片脚に寄りかかるように立つクセや、骨盤を後傾させて座る「仙骨(せんこつ)座り」などは、寛骨臼の形成不全と同じような状態になるため、股関節に余計な負担をかけることになります。

また、歩行や階段昇降などは、思っている以上に股関節への負荷がかかるため、できるだけ負担の少ない姿勢や動作を意識することも大切です。