(撮影=本社・奥西義和)
長年、「シンプルな調理でおいしいものを」をモットーにレシピを提案してきた大庭英子さんは、現在ひとり暮らし。ひとり分の献立を考えるのが面倒な人向けに、お手軽で栄養のある料理法を伝授してもらいます(構成=内山靖子 撮影=本社・奥西義和)

冷蔵庫の中の定番を決める

家族や誰かのために作るのとは違い、自分ひとりのためだけに料理をするのはおっくう……。そういう声はよく聞きます。料理研究家の私も、疲れた時は夕食を作るのが面倒くさいなと感じますから。

でもそういう方は、手間のかかる料理や、何品ものおかずを作らなければと思い込んでいるのではないでしょうか。ひとりご飯は「シンプル」が基本。難しく考えなくてもいいのです。

多品目を摂るために、1食にあれもこれもと食材を詰め込まなくても構いません。たんぱく質は1種類でいいですし、野菜も1、2種類で十分。種類を増やすと、それぞれに合った切り方や火の通し方をせねばならず、手間がかかってしまいます。1食で「たんぱく質、野菜、炭水化物」の3つが摂れていればOK。もしそれも難しいなら、1週間で栄養バランスが取れていればいい、と考えましょう。

おすすめは、冷蔵庫のレギュラーメンバーを決めておくこと。たんぱく質は、豚小間肉、鶏胸肉、豆腐、卵など、手ごろなお値段のものがいい。栄養価が高く、どんな料理にも使えます。シニアは血液や筋肉のもとになるたんぱく質をしっかり摂ることが大切。私も60代後半になり、お粥を炊く際に鶏肉を入れるなど、意識して毎食たんぱく質を摂るようにしています。

野菜は、もやし、ピーマン、キャベツ、キュウリ、ニンジンなどが常備されていれば十分。ベースの食材を決めておけば、買い物で迷うこともありません。同様に、調味料もごく基本的なものだけに。私がスタメンとして使っているのは砂糖、塩、醤油、酒、酢、みりん、味噌、油です。シンプルなメニューなら、これだけでおいしく作れます。

食材を買う時は、少量パックを選びましょう。キャベツ1玉、大根1本などを買って食べ切れなかったことはありませんか? 最近は、野菜や肉も少量で売られているので、ひとりご飯にはうってつけ。私は、調味料も小ぶりサイズを購入しています。割高にはなりますが、長く使っていると、酸化して味が落ちてきますし、途中で捨ててしまうことを考えると、結果的にお得ですよ。

レシピも食材も調味料もできるだけシンプルに。そうすれば、自分ひとりのために食事を作るハードルが低くなり、料理を楽しむ余裕も生まれます。