平野さんいわく、父親世代が抱えている課題の一つに「性教育の遅れ」があるそう(写真提供:Photo AC)
共働きが約7割を占める令和時代。改正介護・育児休業法により、男性育児の増加が期待される中、男性が育児をするには多くのハードルが存在します。一方で、産婦人科医として妊娠・出産・育児の現場を見てきた平野翔大さんは、父親たちが抱える悩み、今からできる解決策、そして今後望まれる社会体制について、各種メディアを通じて発信してきました。その平野さんいわく、父親世代が抱えている課題の一つに「性教育の遅れ」があるそうで――。

性教育の遅れが男女にもたらしたもの

日本には「歯止め規定」と呼ばれる、義務教育において性交渉や妊娠経過について扱わないとする規定が存在する。

実際に、平成29・30・31年改訂学習指導要領においては、小学校5年生の理科で「受精に至る過程は取り扱わない」、中学校1年生の保健体育で「妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から、受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わない」と明記されており、つまり「性交渉」「妊娠経過」について扱わない。

この「妊娠の経過は取り扱わない」の一文が追加されたのは、約25年前の1998年と言われている。

現在の親世代である当時の小中学生は、この教育制度の下で学んだのである。