「父親教室」はないのに「両親教室」はある
義務教育・学校教育の問題について触れたので、次は妊娠してからの教育システムについて考えていく。
妊娠すると、女性は妊娠届を持って役所に行く。これにより「母子手帳」を受け取る。
母子手帳には「妊婦健診チケット」がついており、数週間に1回、妊婦は産科に通い、産婦人科医や助産師の診察を受ける。
時には助産師や栄養士・心理士などとしっかり時間をとって、相談したり栄養指導や教育を受けたりする機会もある。
また妊娠期間中には集団での「母親教室」もある。ここで出産の基本や授乳・沐浴、おむつ替えなどを助産師から学ぶ。
出産後の入院期間にも助産師から授乳や沐浴について実技指導を受けることができる。
更には退院後も、2週間健診や1か月健診で産婦人科医や助産師に相談し、メンタルケアや身体のケアを受ける機会が用意されている。
実は日本のこの支援システムは、世界的にもかなり手厚い。
産婦人科医や助産師は妊娠・出産に関わる専門職であり、これらを中心に小児科医・保健師・栄養士なども含め、専門職が妊婦を支える仕組みができているのである。
まさに「女性が母親になる過程」をサポートするのが、我々産婦人科医や助産師なのだ*。
*産婦人科医は女性のがん、生理、不妊なども専門にしており、妊娠・出産以外を専門にする産婦人科医もいる。