消化器外科医・温泉療法専門医であり、海外も含め200カ所以上の温泉を巡ってきた著者が勧める、温泉の世界。安心して、どっぷりと浸かってみてください。
※本記事は『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』
(佐々木政一、中央新書ラクレ)の解説を再構成しています。
※本記事は『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』
(佐々木政一、中央新書ラクレ)の解説を再構成しています。
意外と知らない温泉マークのヒミツ
この連載の看板にもついている湯気のマークって何?と聞かれたら、おそらく日本人なら100%近くが「温泉」と答えるだろう。しかし、マークの意味するところや変遷については意外と知られていない。
温泉マーク(記号)とは、地図(地形図)において温泉の位置を示す記号で、またそれが拡大されて公衆浴場を示す記号にも用いられるようになった。
日本で地図の記号として最初に現れるのは、陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)が仮製図式に採用した明治17年のことである(図下)。
それ以後、温泉の他、公衆浴場や旅館、赤線などの施設を示す記号として幅広く使用された。またクラゲを上下逆さにしたような形であることから、隠語として「さかさクラゲ」とも呼ばれ、連れ込み旅館やラブホテルを意味するようにもなった。今でも辞典で調べると、その記載がある。しかし、昭和30年代に入り旅館に温泉マークを使用することが禁止され、昭和51年に日本温泉協会が天然温泉を使用している旅館を明示したいという理由で、温泉マークを改めてデザインし直し、現在も使われている天然温泉表示マークになった(図下)。地図では従来の温泉マークの使用は変わっていない。