外国人の珍重する竹

たけは西洋にはないのでかの地では大いに珍重がられている。それゆえ園芸品として気候の許すかぎり栽培して観賞されている。

その品種は、もうそうちく、はちく、まだけ、くろちくを始めとしてやだけ、なりひらだけ、めだけ、はこねだけ、かんちく、しかくだけ、おかめざさ、くまざさ、ちまきざさ、ちござさ、かむろざさ、きんめいちく、ほうらいちく、ほうおうちく、すおうちく、しぼちく等とっくに西洋へ渡っている。

『随筆草木志』(著:牧野 富太郎/中公文庫)

多種多様のひば

ヒバ(写真提供:photoAC)

わが邦のひばの類はひのき、さわらより変わり来たったもの、ならびにあすなろなどより出たものをあわせてその品類がきわめて多く、各特異の形貌を呈して種々の趣があるものであるから、庭園の装飾樹として尊重せられおることは世人のあまねく知りおる事実であるが、西洋人の目にもこれらひば類がたいそう趣味深く見えたものであるからたちまち欧米各国へ渡りて好評を博したわけである。

このような有様ゆえ、西洋で出版した書物の中にもわが邦産のひば類が詳しく出ており、また学者がよくこれを研究してその品類を定めている。