若かりし頃の加藤さん(写真提供◎加藤さん)

加藤 順ちゃんこそ洒落た顔して、都会的な感じで。俺が覚えているのは、順ちゃんが前で歌っている時、後ろでドラム叩いてる田邊さんが、どんどん前に出てくるんだよ。順ちゃんにがんがんぶつかってきてね。とんでもねえドラムだなと思った。

井上 お客さんは、そのパフォーマンスを見に来てたのよ。歌なんて誰も聞いていない。でもこれじゃあいけないって、かまやつさんが持ってきたのが、お揃いのミリタリー・ルック。曲にふりを付けることも始めて、少しずつお客さんが増えてきた。ドリフターズもそうでしょう。

加藤 『味の素ホイホイ・ミュージック・スクール』に出た頃かな。素人さんののど自慢みたいな番組で、後ろで俺らが伴奏やってて。何かパフォーマンスしろって言われて、ズーズー弁で喋ったのがめちゃくちゃ受けた。その時、俺、コメディアンの才能あるのかな、と。

井上 もちろん! なんてったって僕は一度、加トちゃんに殺されそうになったんですよ。

加藤 人聞き悪いなあ。

井上 家でテレビを見ていたら、加トちゃんが石川五右衛門の扮装でカツラかぶって出てきて、「今日の江戸の町はどうかな。ええどう、ええどう」と。その瞬間、あまりに笑いすぎて、引き付け起こしてね。病院に担ぎ込まれたの。すると、お医者さんの声が聞こえるわけ。「ご家族を呼んだほうが……」。一時やばかった。加トちゃんは笑いの凶器を持っていると思ったね。

加藤 俺は知らねえよ、そんなことは。(笑)