絵本の世界にもいろんな女がいる

山本 そして、これは『空とぶおばあさん』(児島なおみ作/リブロポート)という絵本です。ずばり「老いた女」ですね。ちょっと長い物語なんですが、女の子とおばあさんが一緒に空を飛んでいたら、泥棒と疑われてしまって、潔白を証明するために本物の泥棒を捕まえるという。泥棒をぶんぶん振り回したり、大立ち回りもあるんですよ。

トミヤマ めっちゃ元気! おばあちゃんがヒーローなんて最高! マンガの世界にもいろんな女がいますが、絵本の世界にもいろんな女がいるんですね。

山本 読み手の子どもが感情移入しやすいように絵本の中の子どもはわりと普通な感じだったりする一方で、大人のキャラクターはバリエーション豊かな印象があります。

トミヤマ 確かに絵本に出てくる子どもが全員『長くつ下のピッピ』みたいだと、読む側も「パワフルすぎて共感できないよ……」ってなっちゃいますもんね(笑)。逆に大人のキャラクターだと、読み手と距離があるぶん自由に描けるというわけか。それってすごくおもしろいですね!

 

※本稿は、『女子マンガに答えがある――「らしさ」をはみ出すヒロインたち』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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女子マンガに答えがある――「らしさ」をはみ出すヒロインたち』(著:トミヤマ ユキコ/中央公論新社)


もう「少女」を名乗れない私たちの、人生の答えはマンガにある! 不朽の名作から今が旬のマンガまで、幅広い作品中での女性たちの描かれ方を縦横無尽に語り、現代女性の欲望と生き方を探る。「おもしろい女」「たくましい女」「ハマる女」「嫌な女」……あなたに似た女が、マンガの中にはきっといる。