ユーモラスな母と幼少期の井上さん(提供:井上順さん)

ユーモラスな両親のもとで育って

僕のこの性格は親譲りでね。獣医をしていた父は僕よりソフト、女性に特に優しく、惚れっぽくて。うちの母親はのちのちそれに呆れて別れちゃった(笑)。そんなときでも親父は「はっはっはっ参ったなあ」だからね。

おふくろはそれに輪をかけてユーモラスな人で、僕の下宿先にふらりと現れて「今、私の映画見てきちゃったわ」なんて言う。「え?」と聞き返すと「イングリッド・バーグマンよ」。そんな冗談を平気で言う人なんですよ。

そういう両親の間で子ども時代をキャッキャ過ごしたのは、僕の人間形成に大きく影響しました。8歳上の兄と4歳上の姉との5人家族の我が家には、早くから蓄音機があり、洋楽が流れていました。

両親は映画も大好きで僕をよく連れて行ってくれたんです。それも当時としては斬新なディズニーとかウエスタンなんかの洋画ばかり。興奮した僕は、家に帰ってきょうだい相手に身振り手振りを加えてストーリーを伝えたりして。僕はそのまんま大人になってしまったという感じです。