若々しいマダムと落ち着いた若者の同居(写真:『70代からのパリジェンヌ・スタイル フランス女性に学ぶ、幸せなシニア暮らし』より)
少子高齢化が社会問題となっているのは、もちろん日本だけではありません。フランスのパリで一人暮らしをしている75歳以上の高齢者は、約8万4000人いるといわれています。そんななか、高齢者や生活困難者に美を提供するソシオ・エステティシャンとしてパリで活躍しているのは、ゴダール敏恵さん。そのゴダールさん「家族の形は変化してきている」と言いますが――。

血のつながりだけではない、新しい家族の形

家族の形は変化してきている。血のつながりだけでなく、文化、感性の共有や心のつながりによって、幸せの形をつくり上げることができる。

これまで取材した5人の方たちから教えられたことだ。

そしてそれは、フランス全体にも広がっている考え方かもしれない。

そう確信したのは、最近フランス社会で話題になっている、高齢者と若者が共に暮らす「異世代ホームシェア」を知ったからだ。

フランスでも高齢化は深刻な問題だ。特にパリでは一人暮らしの高齢者が増えていて、75歳以上の一人暮らしは約8万4000人。

彼らが自宅で安心して暮らし続けられるためのひとつの手段として、パリ市は異世代ホームシェアを奨励している。

きっかけは2003年の猛暑。例年になく厳しい暑さが続き、およそ1万5000人の方が熱中症で亡くなった。

そしてその大半は、一人暮らしの高齢者だった。

この悲劇を引き起こしたのは厳しい暑さだけでなく、高齢者が社会から置き去りにされていることも一因であるとの反省から、高齢者の孤立を防ぐ対策として、すでに1997年よりバルセロナで開始されていた異世代ホームシェアが、2004年にパリにも導入されたのだ。