「呼吸をゆっくり」と意識すると逆効果になることも
浅く速い呼吸は、交感神経の働きを高めます。
すると、瞬間的なやる気やアグレッシブな気分は高まりますが、それが長く続くと、血管が収縮し、血流が悪くなり、結果、心も体もいいパフォーマンスができにくくなります。
逆に、ゆっくり深い呼吸は、副交感神経の働きを高めてくれます。
すると、それまで収縮していた血管がゆるみ、質のよい血液が、体のすみずみまで流れるようになります。
すると、心も体もいきいきとよみがえり、継続的に自分のパフォーマンスもよくすることができるのです。
もしもストレスや加齢によって自律神経のバランスがみだれ、それによって心身に不調が出てしまっているとするならば、なによりも、「ゆっくり深い呼吸」が欠かせないということなのです。
健康増進のために「ゆっくり深い呼吸」が大事というのは、いまや目新しい話ではないかもしれません。
実際、腹式呼吸や丹田呼吸法など、「呼吸法」に関する情報がちまたにはあふれています。
「ゆっくり深い呼吸が大切なのはわかった。でも、べつに動作を『ゆっくり』にしなくても、呼吸自体を『ゆっくり』にすればそれでいいのでは?」と思われたかたもいるでしょう。
しかし、腹式呼吸や丹田呼吸法を実践できている人というのは、非常に少ないのではないでしょうか。
また、人間の体というのは微妙なもので、「呼吸をこうしなければいけない」と意識した瞬間に、それ自体がストレスとなって、かえって自律神経のバランスがみだれてしまうことが多いのです。