平岩家での人事のなぞ
家康と同年で、家康にとっては家臣であり、友だちでもあったような存在として平岩親吉がいます。ドラマではハナコの岡部大さんが演じ、強い印象を残していますよね。
彼は信康の後見をやっていたのですが、信康にいろいろあったあと、すっかり元気がなくなってしまいました。
そこで家康は親吉に、九男・義直の守り役を任せます。
親吉は元気を取り戻して義直を支えますが、やがて義直が尾張の太守になると、親吉は犬山に入って10万石ほどを与えられる。これは、同時期の譜代大名としては、五本の指に入るほどの厚遇です。
その親吉には男子がいませんでした。すると家康は自身の八男・仙千代を、平岩家の養子として下賜したのです。
これ、よく考えると実に妙な人事。というのも、仙千代は義直にとって同母の兄だから。
仙千代は夭折してしまいましたが、もし仙千代が無事に成長して平岩家を継いだら、どうなったか。兄が家老として、殿さまである弟に仕えることになったはずです。