姉妹のように仲が良いという、渡辺えりさん(左)と波乃久里子さん(右)(撮影:宮崎貢司)
父は歌舞伎の人間国宝、自身は劇団新派を牽引する俳優として半世紀以上、舞台に立ち続けてきた波乃久里子さん。一方、渡辺えりさんは20代前半から自身の劇団を率い、作・演出・出演の三役をこなしながらテレビや映画へと活躍の場を広げてきた。新派と小劇場、異なる背景を持つ二人を結び付けたのは――。発売中の『婦人公論』2023年6月号から、特別に記事を先行公開いたします。(構成=篠藤ゆり 撮影=宮崎貢司)

慰め合っているうちに仲良くなった

波乃 私たち、知り合ってどのくらいたつ?

渡辺 久里子さんの弟の哲明(のりあき)(故・十八代目中村勘三郎)さんと知り合ったのが、30歳のとき。今、68だから……。

波乃 もう40年近く! 私は友だちが少ないから(笑)、弟から紹介してもらい、親しくなって。私たち、姉妹みたいなものよね。

渡辺 久里子さんのところは一家が同じ建物で暮らしているので、哲明さんの子ども(勘九郎さん、七之助さん)が小さいころは、夜中になると別の部屋に移動して毎晩のように芝居談義。哲明さんは芝居には厳しいから「ヘタクソ!」とか言われて、私も負けじと「自分が不器用なのはわかってんだッ!」と言い返したり。

波乃 二人して弟にやり込められて、よく大泣きしたわよね。号泣しながら慰め合っているうちに、仲良くなっちゃった。

渡辺 お酒を飲むと、必ず喧嘩になる。頭に来て、馬乗りになって首絞めたこともありました。(笑)