「周期表」は元素合成のストーリー
以上のような元素合成のストーリーを、1枚の紙に表したものが、みなさんも学校の化学の授業でたことがあるはずの「周期表」です。
陽子の数、つまり原子番号が1の元素から順に、一定のルールに沿って並べたものです(表1)。この表を縦に見ると、化学的性質が非常によく似たグループになっていて、たとえば原子番号6番の炭素と、その下の14番のケイ素(Si)は、よく似た化学的性質をもっています。
SF映画では、「ある惑星で発見された未知の金属」という表現が出てくることがあります。こんな金属は地球上で見たことがない、いったい何でできているのか? と科学者たちが頭を悩ませる、といった設定です。
たしかに宇宙は未知なるものであふれていますが、しかし、どんな金属も元素レベルに分解すれば、必ず周期表に載っている元素の組み合わせに帰着します。地球では原子番号119番の元素は未発見ですが、それはまだつくることができていないだけで、未知ではありません。そして、これが重要なのですが、117番と118番の間に、予想もしなかった117.5番のようなものは存在しないのです。