周期表は宇宙共通の「教養」

文明をもった宇宙人が化学をきわめていけば、必ずこの周期表にいきつくと考えられます。もちろん名前や、発見されている元素の数は違っても、その元素が何をさしているかは同じであり、並べ方もこうなっているはずです。周期表こそは宇宙人共通の「教養」ともいえるのです。

ノーベル賞に名を連ねることも、歴代アメリカ大統領として名を残すことも、周期表に名を刻まれることの名誉に比べれば取るに足りないと、宇宙人の一人として私は思います。

ちなみに地球で元素名となった科学者には、アルベルト・アインシュタイン(99番のアインスタイニウム:Es)や、ピエール・キュリーとマリー・キュリーの夫妻(96番のキュリウム:Cm)らがいます。残念ながら、日本人はおろかアジア人の名前もありませんが、2016年に初めてアジア発の元素名が認められ、113番の「ニホニウム:Nh」となったのは記憶に新しいところです。

学校の理科では、とくに化学が苦手な人は多いようです。じつは私もそんなに好きな科目ではありませんでしたが、周期表が宇宙共通の知識であることを知ったいまは、宇宙標準の教養を身につけるには、化学こそなにより必須な科目かもしれないと見直しています。

※本稿は、『宇宙人と出会う前に読む本 全宇宙で共通の教養を身につけよう』(講談社)の一部を再編集したものです。


宇宙人と出会う前に読む本 全宇宙で共通の教養を身につけよう』(著:高水裕一/講談社)

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