「どうせなら若いほうがいい」という年齢差別

それからこれは腹立たしいくらいいまの日本に刷り込まれた考え方として「若いほうがいい」というのがあります。たとえば政治の世界がそうです。

国政でも自治体の首長選挙でも、二人の候補者がいると「若い人のほうがいい」と考えます。「若い人のほうが思い切ったことをやってくれそうな気がする」とか「年寄りは行動力がないし発想が古い」といった受け止め方をします。

高齢者が運転する車が事故を起こすと「80過ぎて運転なんていい迷惑だよ」とか「免許証に年齢制限作ればいいだけの話じゃないか」といった見方をしがちですが(写真提供:Photo AC)

でも大事なのはそれぞれの候補者が何を訴えているか、どんな政治をやろうとしているかということです。

若い政治家が若いというだけで市民の生活を守ってくれるとは限りません。いくら年齢が若くても心の老いが始まっている政治家もいます。自治体の首長でも国の言いなりになって市民に不自由を強いる例だって多いのです。

まして国の政治をリードする総理大臣のようなトップが、ただ年齢が若いというだけで有権者に支持されたらそれこそどんな政策を押しつけてくるかわかりません。

たとえ高齢の政治家であっても、要は国民の気持ちを汲み取る能力があればいいわけで、どんなに若くても聞く耳を持たない政治家では困るのです。

つまり政治に年齢は関係ありません。ちなみのアメリカの大統領は2代続いて70代です。

いまのバイデン大統領はもうすぐ81歳になります。アメリカの平均年齢は38歳で日本よりはるかに若いことを考えると、年齢へのこだわりがないとわかります。さすが年齢差別禁止法が実施されている国だと納得します。