吉本にしがみついていけばいいかと思っていたけれど
本を出したことで、名文の感想のお手紙をたくさん受け取りました。返事を書くのに「ありがとうございます」って一言だけでは失礼だなっていうくらいの長い文章で。こちらもついつい胸がいっぱいになるんですけど、頂いたのと同じくらい長い返事を書くってのも変なので、3分の1くらいに調節して返礼を書いています。ありがたいことですね。
おかげさまで、本を出したことで頭が整理できたのか、これからどうしようかと考えています。僕は大学を出て、そのまま吉本に就職して、47年経ちました。お家騒動があったり、自分が追い出されそうになったり、死ぬような思いを何回もしながらこの会社で働いてきた。だから一生この会社にしがみついていっても罰は当たらんやろと思っていたんです(笑)。ところが本を書いていくことで、ああいくら苦労したからってそれは慢心やな、どこかでケジメつけないといけないな、って思えるようになった。そういう意味でも本を出して良かったですね。
おばあちゃんのよく言ってた「子どもは世界の宝物」っていうのも、尚更考えるようになった言葉です。僕の場合は身近な人、孫や子どもを大切にして行ったらいいのか、はたまた沖縄に子ども食堂を作ったので、週1回くらい通う生活はどうなのか、とか。でもその子ども食堂に入れずにいた兄妹の姿も目に焼き付いています。親から面倒をみてもらえてなくてお腹も空かせているのに、食堂に入ることすらできず電柱の影で怯えていた幼い子どもたち。そんな子どもに手を差し伸べたいという気持ちがあったり。
どれをやっても綺麗事なのかも知れませんが、子どもは本当に宝物なんだっていうのを実行にうつしていかないと、国どころか人間自体、地球に生き延びられないんじゃないかなあと切実に思っています。でも以前までは「もう70歳になるから…」という発想でいましたけど、本を通して考えるうち、「さぁここから、どうしよう」と、とても前向きな気持ちになれました。皆さんも、あまり自分を追い込みすぎることなく、自分なりの「居場所。」を見つけていただけたらと思います。
『居場所。』(著:大崎洋/サンマーク出版)
「一気に八回読んだ」――――松本人志
ダウンタウンを見出し、
活躍の場をつくり、
ともに歩みつづけた
吉本興業のトップがはじめて語る
「生きづらさ」の処方箋。
激動の人生を歩んだ著者が、
自分や大切な人たちの「居場所」を
つくるために心がけてきた
12の「しないこと」とは。