今のコンサートは、大人の味わい
――長年のファンの皆さんは、“バンドの長男”としての責任など、重圧と闘っていた“あの頃の財津さん”も知っています。そう考えると、感慨深いですね。
若い頃からコンサートに来てもらって、同じ時間を過ごしてきたわけでしょう。今日初めて出会った相手(観客)じゃないわけですよ。ここまでつきあってきてくれたんだなぁと思うと、なんだか胸が詰まりますね。これまで人生を生きてきて、みなさんにもそれぞれにつらいこと、苦しいことがたくさんあったはず。でも、僕らの歌を聴いて、それを一瞬でも忘れられたらいいし、コンサートの時間だけでも青春時代に戻ってもらえたらと。昔のような黄色い歓声はなくなったけど(笑)、それがまたいいんですよ。なんというか、今のコンサートは、熟成されたモルトウイスキーのような大人の味わいです。
――客席に男性ファンの姿が目立つことも、昔との違いですね。男性からの声援に、ステージ上の財津さんがとてもうれしそうに応えておられたのも印象的でした。
男性が来てくださるのは、ほんとうにうれしいんですよ。若い頃は恥ずかしくて「チューリップのファンだと公言できなかった」という方々が、最近になって、コンサートに足を運んでくださる。そんなことを含めて、今は、ただ、ただ、感謝しかないし、僕自身、今のほうが自由に楽しめています。
そもそも、デビューから50年以上経ったバンドがコンサートツアーをやれること自体、不思議というか、夢のような話じゃないですか。だから、コンサートをやるたびに、「みなさんが来てくださるから、コンサートを開くことができます。みなさんのおかげです」と、客席に向かってお礼を言っています。