亀と鳥居強右衛門、その後の関係
そういえば今話では、岡崎体育さん演じる鳥居強右衛門がもう一人の主役でした。
磔にされた絵で有名な強右衛門ですが、ドラマでも長篠城から岡崎城まで走って危機を伝えるも、あと少しのところで武田軍に捕まってしまいました。「家康は長篠を見捨てた」と言えと脅されるも、隙をついて「持ちこたえろ!」「生きろ!」と呼びかけ、ついに…。こちらも亀姫の話と負けず劣らず、感動的な場面でした。
実は亀の四男・忠明は自立するとき、その鳥居強右衛門の子孫を家臣としてもらい受けています。そのため、鳥居家は奧平松平家の重職となりました。一族には家老を務めた人もいます。
もう一つおまけ。
「強右衛門(すねえもん)」という字は、なかなか読みにくいと思いますが、史料編纂所の名所長といわれたAさんも、教授会でその名前を読めなかった、ということがありました(ぼくもその場にいました)。
しかし、そんな些細なことと比ぶべくもなく、Aさんの業績は卓越したもの。ですので強右衛門を通じて、研究者に大切なのはあくまで「考えること」で、「知ってる・知らない」にこだわるのは無意味だとあらためて感じた……なんてこともありました。
『「将軍」の日本史』(著:本郷和人/中公新書ラクレ)
幕府のトップとして武士を率いる「将軍」。源頼朝や徳川家康のように権威・権力を兼ね備え、強力なリーダーシップを発揮した大物だけではない。この国には、くじ引きで選ばれた将軍、子どもが50人いた「オットセイ将軍」、何もしなかったひ弱な将軍もいたのだ。そもそも将軍は誰が決めるのか、何をするのか。おなじみ本郷教授が、時代ごとに区分けされがちなアカデミズムの壁を乗り越えて日本の権力構造の謎に挑む、オドロキの将軍論。