私は可能性を食べて生きていた
次々と発売されるキラキラした料理本を参照しては、見たことのない世界の料理や、一味違うプロのコツを活かした料理などせっせと作り続けた。
私は可能性を食べて生きていたのだと思う。
ああ美味しい最高と思った瞬間から、きっとまだ他にも最高に美味しいものがあるに違いないと夢見た。
そして確かに、世の中には無限に美味しいものが次々と登場するのだった。
その情報を抜かりなく集め続けて日々を「楽しく」生き抜いてきたのだ。
ところが、である。
そんな華やかな日々はある日突然、終わりを告げる。