私は可能性を食べて生きていた

次々と発売されるキラキラした料理本を参照しては、見たことのない世界の料理や、一味違うプロのコツを活かした料理などせっせと作り続けた。

私は可能性を食べて生きていたのだと思う。

『家事か地獄か 最期まですっくと生き抜く唯一の選択』(著:稲垣えみ子/マガジンハウス)

ああ美味しい最高と思った瞬間から、きっとまだ他にも最高に美味しいものがあるに違いないと夢見た。

そして確かに、世の中には無限に美味しいものが次々と登場するのだった。

その情報を抜かりなく集め続けて日々を「楽しく」生き抜いてきたのだ。

ところが、である。

そんな華やかな日々はある日突然、終わりを告げる。