撮影:宅間國博
アニメや漫画が原作の「2.5次元舞台」で多彩な役を演じ分ける荒牧慶彦さん。美しい殺陣も大きな魅力だ。舞台『サザエさん』では大学生になった磯野カツオを演じる(撮影=宅間國博 取材・文=婦人公論編集部)

アニメやゲームの登場人物になるのが夢だった

今回は、磯野家の10年後、そしてカツオは就職活動中という設定。僕が俳優になると決めたのも就活の時期でした。だから僕なりに、カツオの気持ちに寄り添える気がしています。

「就職先は銀行かな」なんて考えていた時、ずっと心の奥にあった俳優の夢が突然浮かんできたんです。今やらなければ永遠に縁がないだろう、と。当然、親は猛反対。でも「25歳で芽が出なければ就職する」という条件でチャンスをくれた。初めて出演した2.5次元ミュージカルを観た親が、「ここで頑張れるなら」と認めてくれた時は嬉しかったですね。

以来、2.5次元舞台に出演する機会が続いています。アニメやゲームの登場人物になるのが夢だったので、役作りが楽しくて仕方ない。役の性格を研究し、仕草や喋り方のクセを肉づけしていくんです。2.5次元では殺陣(たて)も重要な要素ですが、ほぼ独学。早乙女太一さんの型など参考になる動画を見ながら、日々勉強しています。でも何より大切なのは、演じる役の一番のファンでいることかな。

最近は映像や声のお仕事も増えていますが、どれかひとつに絞ることは考えていなくて。やってみたいことや面白いことが、まだたくさんある。それをファンの皆さんと楽しめたら、これ以上の幸せはありません。