萩本欽一さんとの出会いがあって、その後、渥美清や萩原健一とも共演する。

――萩本さんに何度も言われたことは、「人間、持っている運はみんな一緒。その運を全部、仕事に使いなさい」。宝くじに当たったり、美人に惚れられたりすると、仕事運が減る、ってね。

ある時、前のかみさん――事故で亡くなったんですが、彼女は精神科の医者で当時の僕の生活を支えてくれた人。ある時萩本さんに紹介したんです。そしたらあとで、「B作くん。運使ってないから、いいよ」って。失礼なんですよね。(笑)

渥美清さんは、元付き人の石井愃一というのがうちの劇団に入ってきたんで、毎回観に来てくださるんですが、顔が大きいから目立ってすぐ渥美さんとわかる。じっと睨んだまま舞台を観てて、クスリともしない。

でもあとで石井が電話すると、「あそことあそこ面白かった」って言ってくださる。まぁお笑いやってる人間は、他のお笑い観に行っても絶対笑わないですよ。腹の中では笑っても。

それがご縁で『男はつらいよ』にも一度出していただきました。第33作の「夜霧にむせぶ寅次郎」。僕はかみさんに逃げられた情けないサラリーマン役で、山田洋次監督には「違う~!」って怒鳴られてばかり。でも渥美さんの絶妙なアドリブには、スタッフたちがみんな笑って、怖い監督までがクスッと笑う。大した方でしたね。

萩原健一さんとはテレビ朝日の『豆腐屋直次郎の裏の顔』という連続ドラマで。僕は弟分の役でよく殴られるんですが、あの人、殴るのが下手で、痛くて音が悪い。僕は劇団で鍛えてますから殴るのはうまくて、いい音させて痛くないんです。

台詞は覚えて来ないでほとんどアドリブ。それで言いたい放題。あの役者駄目だな、とか。B作の彼女の役、あれじゃ惚れられないよな、とか(笑)。裏表のない面白い人でしたよ。毎回真剣勝負でした。