トウカイテイオーの「通過儀礼」
しかし、日本ダービー制覇のわずか3日後に発覚した左後脚の骨折から、トウカイテイオーの「通過儀礼」は始まる。エリート街道を歩んできたその旅路は、それまでとは打って変わって、波乱や雌伏、困難、そしてドラマに満ちたものに変貌していく。
10ヶ月ぶりに復帰した産経大阪杯での圧勝。しかし、春の天皇賞ではメジロマックイーンの後塵を拝し、さらに再度の骨折が発覚。
復帰した秋の天皇賞では、超ハイペースに巻き込まれて撃沈。それでも次走、ジャパンCでは海外の強豪たちを豪快に差し切った。
そして暮れの有馬記念でメジロパーマーに逃げ切られての大敗、そのレース中に負傷。宝塚記念で復帰を期したが、その直前に三度目の骨折が判明し、失意の休養。
何度も何度もトウカイテイオーと陣営に繰り返される苦難は、そのまま我々が生きる中で起こる困難にも重なる。