“和田ブーム”でわかった高齢者の実態

自立した生活をしている高齢者はもちろん、周囲の手助けを受けながらにこやかに暮らしている高齢者は、こうした要素がもたらす力を発揮したり、享受したりしながら人生の実りの時期を過ごしています。

これが私のイメージする「シン・老人」像であり、そうした高齢者が発揮したり、もっていたりする力こそが「シン・老人力」です。

昨今、拙著『80歳の壁』『70歳が老化の分かれ道』などが次々とベストセラーになり、時ならぬ“和田ブーム”が起きました。

どの本でも「美味しいものを食べ、好きなことをして暮らすことこそ健康長寿の秘訣」と述べていますが、私が25年以上前から主張し続けてきたことです。

今になって急に売れ始めたことに私自身、驚きながらも「読みは当たった」と総括しています。「寝たきりでもいいから長生きしたい」という人はほとんどいません。「人生を楽しみたいから長生きしたい」という“実需”がはっきりしたのです。

しかし、出版社や編集者からはずっと「高齢者向けの本は売れにくい」と言われ続け、タイトルに「70歳」「80歳」と入れるのはもってのほかとされてきました。

ところが、コロナ禍に入った3年ほど前から、「70歳」「80歳」と入れた本が非常に好評で、よく売れるようになりました。

郊外型の書店や、アマゾンで1位になるなどネット書店でも好調です。つまり、70代、80代が車を運転して私の本を買いに行ってくれたり、ネット通販も使いこなして手に入れてくれたりしているわけです。

高齢者はお金を使わない=消費者として見られていない、という傾向が強い世の中ですが、実態は違うのではないでしょうか。欲しいと思うモノがあればアクティブに行動してすぐに買うし、世間が思う以上にITリテラシーも高いのです。

高齢者は、行動的で知的な「立派な消費者」だと世間に認めさせなくてはいけません。