「サイトカインストーム」の発生条件は基礎疾患の有無

炎症性サイトカインは、免疫細胞がウイルスを排除するために出す物質ですが、体内の細胞の炎症も引き起こしてしまうものです。

暴走した免疫細胞が出す過剰な量の炎症性サイトカインが、致命的な肺炎を引き起こし、多くの人々の命を奪ったのがサイトカインストームです。

また、炎症性サイトカインが血管や血液に障害を与え、血栓ができることで心筋梗塞や脳梗塞、肺をはじめとする多臓器不全を引き起こしたのです。

新型コロナウイルスに感染しても軽症ですむ人、中等症にいたる人、そしてサイトカインストームを発症して重症化する人。その違いを生む要因のひとつは、「基礎疾患の有無」でした。

基礎疾患とは、肥満や糖尿病、動脈硬化、心臓をはじめとする内臓疾患、あるいはがんなど多岐にわたります。こうした基礎疾患は、体内で炎症を起こしている状態です。

また、肥満も全身の肥満細胞の炎症という点で、基礎疾患と同じです。

肥満も全身の肥満細胞の炎症という点で、基礎疾患と同じです(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

炎症はそれ自体も炎症性サイトカインを生み出すため、サイトカインストームを引き起こしやすいことが重症化リスクとされたのです。

その当時に流行したデルタ株に比べ、2022年に流行したオミクロン株は比較的、重症化にいたる割合は低下していますが、現在も肥満や基礎疾患が重症化リスクとされている点は同じです。

歯周病が進行し、まして最悪のジンジバリス菌が増殖する重度の歯周病であれば、炎症性サイトカインや歯周病菌による毒素がいつも血流に乗って全身に炎症を誘発している状態です。

それは新型コロナウイルス感染症の重症化を後押ししていることにほかならないと考えられるのです。