注目の3関脇

初日の幕内の正面解説は九重親方(元大関・千代大海)だったが、その師匠は、大型力士のいる中で、小さな体で連勝を重ね、大活躍した横綱・千代の富士である。千代の富士は肩の脱臼ぐせがあり、休場もした。引退してからテレビ放送の解説をした時、「休場したことが(怪我にも体力的にも)良い休みになった」と話していた。

さて、初日の照ノ富士は小結・阿炎を一気に押し出した。注目の3関脇だが、初日は若元春が元大関の前頭2枚目・御嶽海に寄り倒しで勝ったが、土俵際で同時に落ちて物言いかと心配した。

大栄翔は元大関の前頭2枚目・正代に押し出しで、誰もがはっきり分かる勝ち方をした。

豊昇龍は前頭筆頭・翔猿に押し倒しで勝ったが、途中で手が砂を払ったように見えたと向正面解説の舞の海さんが指摘したように、物言いがつくような危ない相撲だった。

私は3力士ともに大関になって欲しいが、先々場所、土俵際の逆転で本割と決定戦ともに負けて優勝を逃した大栄翔が気の毒でしかたない。今場所前のインタビューでは、その突き押し相撲そのままに、大関への意欲を語っていた。その突き押し一直線の欠点の攻略を九重親方は、「土俵際では(対戦相手の)お腹を突くこと」と語り、さすが突っ張りの威力で大関になった人だと思った。九重部屋は高砂一門、大栄翔のいる追手風部屋は時津風一門だ。一門を越えて、九重親方が稽古密着アドバイスをすれば、大栄翔の大関昇進は間違いなしという気がした。

見どころはまだまだある。小結の琴ノ若と阿炎にも活躍してもらい、関脇になって欲しい。

そして元大関の御嶽海、正代、前頭4枚目・朝乃山は初日に揃って負けたが、大関復帰を目指してもらいたい。朝乃山は前頭3枚目・明生を土俵際まで追い込んだが残され、明生が投げるそぶりを見せてから浴びせ倒した。

明生は、上位のうまさを披露していた。朝乃山は、コロナ禍の日本相撲協会のコンプライアンス違反で休場の処分となり、昨年の名古屋場所は三段目22枚目まで落ちて復帰してきた。その間に対戦する上位力士が変わり、陸に戻った浦島太郎状態かもしれないが、一緒に大関だった正代と共に頑張ってもらいたい。