一人娘が白血病を発症

正直に言うと、結婚は私の転機になりませんでした。でも、妊娠出産は大きな転機。もともとアイドル出身ですから、歌手は人気商売だと思っているので、妊娠なんてしたら人気が落ちてしまうと心配していたんです。でも、妊娠したとたんに仕事が増えて、娘のゆーゆが生まれてからも順調そのもの。「子どもは米粒を抱えてやってくる」と聞いたことがありますが、その通りでした。(笑)

でもまたもや試練が…。娘のゆーゆさんが3歳の時に、風邪がなかなか治らないため病院に行くと、「お母さん、お子さんはひどい貧血です。すぐに入院してください」と言われてしまう。白血病だった。

「色白でかわいいなあ」と思っていたら、白血病だなんて…。もう生きた心地がしませんでした。それから半年入院したのですが、病院で娘がDVDを見たり、CDを聴いたりして楽しそうに笑っている。他の病気の子どもたちも同じです。音楽の力ってすごいなあと思い知りました。歌手は人気商売ではなくて、自分が歌うことで誰かを元気にする仕事なんだとようやくわかったんです。こう考えることができたのは、私にとっての転機です。

幸いにも病気は完治。娘のゆーゆさんはあずみさんのコンサートをサポートしたり、「マグロニカン」というグループで活動するなど、歌手として活躍している。現在は音楽大学の1年生。将来は「歌のおねえさん」を目指しているという。

中国で行われたゆーゆさんとのイベント(写真提供◎井上さん)

娘は5歳のときにアルバム『ジブリ名曲セレクション〜Dear GHIBLI』の中で「ナウシカ・レクイエム」を歌ったんです。そしたらなんだか気持ちよかったらしく(笑)、それから歌手になりたいと言い始めて、7歳のときに「6さいのばらーど」で歌手デビューしました。NHKの『みんなのうた』にも抜擢されて、順調なスタートです。中学生のときに「マグロニカン」というバンドを組んでギターボーカルを務めていますが、楽しそうです。マグロニカンは中国でも人気なんです。

やっぱり3歳で小児がんを経験していますから、何があるかわからない。とにかくやりたいということは全部やらせてあげたいという気持ちで見守っています。もっとマグロニカンが大きくなってくれたら、私はステージママに専念したいです。(笑)