「令和の怪物」

11日目まで1敗で走ってきた錦木が、怪力を思う存分発揮して初優勝するのか?と思った。その錦木は13日目に伯桜鵬にタイミングの良い内掛けで敗れた。

13日目を終えて2敗で単独トップになったのは北勝富士。ところが14日目、北勝富士は伯桜鵬と左四つの形になったが、最後は土俵際で突き落とされて負けた。

伯桜鵬恐るべし。落合の名前で今年の初場所に幕下15枚目格付け出しでデビューし、4場所目でもう幕内の優勝争いに参戦している。幕下の時から「令和の怪物」と呼ばれているが、最初にそう名付けた人は表彰状ものだ。本当にそうではないか。

怪我で左肩から胸にかけて大きくテーピングをしているが、勝負となると気にすることもなく対戦相手に突進。突き押しも、左四つも得意で、対戦相手のことも研究して工夫している。緊張している様子はなく、ひたすら勝つために動く。上位力士の方が「負けたら嫌だ」と緊張しているように見える。そして、伯桜鵬はゆっくりと手を動かして丁寧な懸賞金の受け取り方をするので、上位力士を倒して生意気だという感じが全くしない。 

しかし、私は優勝の行方で頭が混乱しながらも、優勝に関係のない14日目の結びの一番で感動し、涙をこぼした。

新大関・霧島と元大関の前頭4枚目・朝乃山の対戦は、見事なすくい投げで朝乃山が勝った。霧島は右の肋骨骨挫傷で休場してから出場。朝乃山も左腕を痛めて途中休場してから復帰した。14日目に負ければ、霧島は来場所カド番になり、朝乃山は負け越しになる。二人とも苦しい立場だが、立ち合いに相手をよけて飛んだりせずに、正々堂々と戦った。