メジャーデビューに向けて
大谷翔平がついに日本を飛び出し、驚異的な二刀流のスキルとともにメジャーリーグにやってくる。
「僕はまだ選手として完成していないですし、成長できる環境でやっていきたいです。高校を卒業するときにも、同じように思っていました。メジャーに行きたい一番の理由はそれですね」
そんな大谷に興味を示さないチームなど、あるはずがなかった。
25歳を待たずにメジャー行きを決めた大谷は、若手の外国人選手に対する契約金の制限ルールが適用され、受け取れる額は限られてしまう。とはいえ、それはメジャーリーグの全30球団が大谷の獲得に乗り出せることを意味し、資金力のあるビッグ・クラブ以外にもチャンスがあるということになる。
各球団の上層部が、どれだけ大谷の二刀流を歓迎しているかは未知数だった。日本プロ野球界では受け入れられ、国際試合でも大谷は実力を示したのだが、はたしてメジャーでそれが通用するのか。
「大谷は、それぞれのスキルが際立っている」あるナショナル・リーグのGMは語った。「打てば150m以上の飛距離、投げれば160km超え、走れば1塁までは4秒を切る。これだけのスキルを兼ね備えた選手はめったにいない」
それでも、謙虚な大谷はメジャーで二刀流をやらせてもらえると確信してはいなかった。何しろ、1世紀前にベーブ・ルースが活躍して以来、誰も成し遂げていないことだからだ。
「やらせてもらえるかどうかわからないですけど、その点について球団の考えは聞きたいですし、どういった状況なら可能なのか知りたいです」大谷はAP通信社にそう語った。
「そのあたりがはっきりしないことには、僕からはなんとも言えません」
日本プロ野球界で過ごした5年間は成功そのものだった。一度は入団を断ったものの、その後日本ハムと契約してプロ入りしたあと、大谷は2016年にチームを日本一に導いた。
日本での5年間で、大谷は投手として42勝15敗、防御率2.52、543イニングで624奪三振という記録を残した。打者としては、48本塁打に166打点、打率は.286。
「プロ入り前は、二刀流をやれるなんて想像していませんでした。でも、ファンの応援やコーチたち、栗山英樹監督の指導で実現することができたんです。だからこそ、これを続けていきたいという強い思いが生まれました。自分のためだけでなく、支えてくれる皆さんのためにも」