人生100年時代、医療の発達もあって平均寿命が伸びる一方で、60歳を過ぎれば『病気の壁』がやってきます。健康で元気に生きるためには、どのような生活を送ればよいのでしょうか。60代、70代、80代と『病気の壁』をらくらく乗り越える方法を指南するのは、高齢者専門の精神科医である和田秀樹先生。その和田先生「過度な食事制限は低栄養、低カロリーを確実に招きます」と言っていて――。
60歳以上の5人にひとりが新型栄養失調症
過度な食事制限は低栄養、低カロリーを確実に招きます。
すると代謝が悪くなり、エネルギー源であるブドウ糖をうまく活用できなくなるため、脂肪が体内に蓄積する。
つまり食べていないのに太るのですが、太ったからとダイエットをすると、さらに代謝が悪くなる。この悪循環の先に待ち受けているのが新型栄養失調症です。
あまり知られていないことですが、日本では60歳以上の5人にひとりがたんぱく質の欠乏などによる新型栄養失調症だといわれています。
いきすぎた生活改善の影響であることは疑いようもありません。
粗食はストレスにつながり、免疫機能にも悪影響をおよぼすため、風邪をひきやすくなったり、うつになりやすくなったり、日本の死因トップであるがんの発症率が高まります。
つまり肥満やメタボを気にして食べないというのは非常に危険な行為なのです。肉は避けて魚中心で、なんなら野菜オンリーでなどと考えるのもナンセンス。
ベジタリアン(菜食主義者)やビーガン(卵や乳製品も食べない完全菜食主義者)は短命であるといわれています。
おそらく豆などでは十分なたんぱく質をとることができないのでしょう。
とはいえ、いろいろ試した結果、それが自分に適した健康法なのだというかたは貫くべきでしょう。