ワイドショーばかり見ているとうつになる

このことの何が危険かといったら、一つは原因の単純化です。

薬物の影響の可能性が大きいのに、高齢だけが原因のように論じることです。

次に確率の無視です。75歳以上の高齢者の1万人にひとりしか死亡事故を起こしていないし、他の年代の人も死亡事故を起こしているのに、確率が無視されて、高齢者すべてから免許をとりあげろという議論になります。

『病気の壁』(著:和田秀樹/興陽館)

さらに視聴者への悪影響というと白か黒しかもたない視点です。

被害者か加害者か、善か悪か、薬か毒かと判断し、中間をもたない思考を精神医学の分野では「二分割思考」といって、避けるべき精神状態だととらえられています。

このような思考パターンはうつ病になりやすい考えかたなのですが、テレビを見ているとそういう思考パターンをもちがちです。

グレーは存在しないと考える「二分割思考」に陥ると、信用していた人にちょっと批判的なことをいわれただけで「もう信用できない」と失望したり、成績がトップから2位に落ちただけで「ありえない」と絶望したりしてしまい、つまり、うつになりやすくなってしまいます。

垂れ流し的にテレビのワイドショーばかり見ていると、知らず知らずのうちに「二分割思考」に陥っているかもしれません。

そもそもメリハリのない生活は脳(とそのソフトである認知機能)にも心にも悪い影響をおよぼしてしまいます。

ですから見たい番組だけをチョイスして見る、その番組を見終えたら直ちに電源をオフにして別のことをするといった具合に、暮らしのなかにさまざまな行動をとりいれるようにしてください。