高齢になるほど上がる自殺率
さらに60代は脳の老化、とりわけ前頭葉の萎縮や機能低下が始まる年代。特別な悩みがなくても、意欲が衰え、気分的な落ちこみが出てくることも珍しくありません。
どんなに今が恵まれていても、二度と青春時代は戻らないなどと考え始めたら、たちまちブルーな気分に襲われてしまいます。
髪が薄くなり、視力が衰え、耳が聞こえづらくなり、歯茎が落ち、歯が抜け、歩きづらくなり、友だちがぽつりぽつりと消えていく。
こうした変化を受け入れていくのは口でいうほど簡単ではありません。
こうしたことから年齢が上がるとともにうつになる人が増え、発散する術もなく、放置しておくとそのうつ病は静かに進行していきます。
未来に対する夢もない、待ち受けているのは介護生活だ、家族の世話になりたくないと思考が負のスパイラルに入るようだと、絶望して、自殺を招きやすいのです。
世界的に見て、自殺率(その多くはうつ病によるものと考えられます)は、高齢になるほど高まっていくことがわかっています。
※本稿は、『病気の壁』(興陽館)の一部を再編集したものです。
『病気の壁』(著:和田秀樹/興陽館)
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