和田先生「ワイドショーばかり見ているとうつになる」(写真提供:Photo AC)
人生100年時代、医療の発達もあって平均寿命が伸びる一方で、60歳を過ぎれば『病気の壁』がやってきます。健康で元気に生きるためには、どのような生活を送ればよいのでしょうか。60代、70代、80代と『病気の壁』をらくらく乗り越える方法を指南するのは、高齢者専門の精神科医である和田秀樹先生。その和田先生いわく「ワイドショーばかり見ているとうつになる」だそうで――。

ワイドショーには注意

自粛中は一日中テレビを見てすごしていたという人もいることでしょう。

どんな番組を見るのも自由ですが、ワイドショーには注意が必要だと思います。

ワイドショーでは一つの事件をとりあげて、コメンテーターが意見を述べるという形態がとられていますが、「わたしはこう思う」と端的に述べるのがコメンテーターの役割なので、ともすれば意見がかたよってしまいがちです。

もっともち時間が長ければ、「こうした理由から一概にはいえませんが」といった前おきをすべきところですが、時間制限があるので端折り、結果的に一方的な発言になってしまうケースが多いのです。

たとえば高齢者がアクセルとブレーキを踏み間違えて事故を起こし、被害者が命を落としたという報道が、事故現場などの映像とともに流れれば、視聴者は加害者に対して憤りを覚えます。

そこへコメンテーターが「こんな高齢になって運転するのが危ないのはわからないのでしょうか」と伝えれば、そうだそうだと感情をあおられることになるでしょう。

わたしなら加害者はふだん安全運転をしているのにそのときだけ暴走をしたというのなら、意識障害の可能性が高いと考え、だとしたらふだん飲んでいる薬の影響を調べないといけないと考えますが、「加害者は許せない、やっつけろ」という方向へ流れてしまうのです。