人生100年時代、医療の発達もあって平均寿命が伸びる一方で、60歳を過ぎれば『病気の壁』がやってきます。健康で元気に生きるためには、どのような生活を送ればよいのでしょうか。60代、70代、80代と『病気の壁』をらくらく乗り越える方法を指南するのは、高齢者専門の精神科医である和田秀樹先生。その和田先生「小太りの人がいちばん長生きする」と言っていて――。
食生活でコレステロール値を下げるのは至難の業
善玉であってもコレステロールである以上、基準値まで落としたほうがいいという医者もいるようですが、女性が長寿なのは男性に比べて善玉コレステロール値が高いからだという説もあり、わたしはとくに気にすることはないように思います。
また、悪玉コレステロールに関しても、免疫細胞や男性ホルモンの材料になるのはむしろ悪玉とされているコレステロールなので、コレステロール値だけにピリピリしても意味がないと考えています。
高齢者に特化していえば、若いころに比べて数値が増えてくるのは普通です。自分だけが異常だなどと考えて右往左往する人が目立ちますが、数値は高くなっていくのは自然現象。
にもかかわらず、若いころの数値を闇雲に目指すと、それなりのリスクがともないます。ここはバランス調整が必要だといえるでしょう。
あまりにも高い場合には警戒する必要がありますが、その場合も食生活でコレステロール値を下げるのは至難の業。
なぜかといえば、体内のコレステロールのうち3分の2にあたる必要量は体内で自動的に合成されていて、外的要因でのコントロールはしづらいからです。
ひと昔前はコレステロールそのものが悪者扱いされていて、「コレステロールが上がるから卵は一つまでにしましょう」などと盛んに推奨されていましたが、アメリカでの調査の結果、「コレステロールの摂取量を減らせばコレステロール値が下がるという根拠はない」という結論にいたり、食事によるコレステロールのコントロールは推奨されなくなりました。