キューバの音楽
どれも個性的で素敵な音楽達です。南米の音楽を語るだけで、このコラムで何ヵ月もかかると思います。
そして悩みに悩んで今回はキューバの音楽をご紹介したいと思います。
先ずはキューバという国を簡単にご紹介しましょう。カリブ海に浮かぶ島国で、フロリダ半島の南に位置しています。そして一番大きいキューバ島の他になんと1600あまりの小島によって構成されています。キューバの首都「ハバナ」はカリブ海地域最大の都市です。
1959年にカストロのもと、あの有名なキューバ革命が起こり、南北アメリカで初の社会主義政権が成立しました。現在はアメリカとの国交もあり、日本からは主にアメリカ経由で行くことになります。
このキューバの魅力は沢山ありますが、先ず、第一に海の美しさが挙げられます。その海は「カリブ海の真珠」と讃えられ世界のビーチランキングでも上位にランクインしています。そして、街並みの美しさも素晴らしいものがあります。キューバはスペインの植民地だった頃の建物が旧市街に残っていて、それらは世界遺産として登録されています。
そしてもう一つ、目につくのが街中を走るクラシックカーです。キューバではアメリカ影響下の1940~50年代に輸入されたクラシックカーが今でも現役で街中を走っています。60年前の車も沢山走っているとの事です。旧市街の街並みに映えるカラフルな車体はなんとも言えないレトロな雰囲気を醸し出しています。
更に、キューバはお酒も有名。特にサトウキビから作るラム酒が有名です。そしてラム酒をベースとした南国らしい、キリッとした味のカクテル、ダイキリ・モヒート・ピニャコラーダなどはキューバの名物。日本でもこれからの暑い季節にぴったりの飲み物です。
そして最後の魅力としてご紹介するのが音楽です。世界にキューバ音楽が知られるようになったのは1928年ごろ。特にルンバがニューヨークを中心に流行しました。そしてその後、多くのキューバのミュージシャンがアメリカに出稼ぎに来るようになり、1950年代にビッグバンドで演奏されるマンボが一世を風靡。当時のダンスミュージックとしてナイトクラブで大ブームを引き起こします。その後、キューバ革命の影響やロックの世界的ブームなどが原因でキューバ音楽は影を潜めます。そのキューバ音楽が再び脚光を浴びる事になったのが今回ご紹介する「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(BUENA VISTA SOCIAL CLUB)」です。
これはアメリカのギタリストであるライ・クーダーがキューバに旅行した際、それまでほとんど知られていなかったキューバのベテランミュージシャンとセッションを行ったことがきっかけとなって、1997年に「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」というアルバムをリリース。1999年には同名のドキュメンタリー映画が制作されました。「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」とは1940年代のキューバに実在した会員制音楽クラブの名前。作品に参加したミュージシャン達の大半がこのクラブの会員だったためこの名前になったそうです。
そしてこのアルバムと映画は世界的にヒットし、特に映画は第72回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞にノミネート。世界で20以上の賞に選ばれました。私もアルバムがリリースされた当時、よく聴いたものです。老練なキューバのミュージシャンが奏でるのんびりとして陽気な雰囲気の中でも、ちょっぴり影を感じる音楽を楽しんでください。
さて、今回の音楽による世界一周旅行part2いかがでしたか。インドネシア・バリ島のガムランから始まりインドの最新音楽、アイルランドの「リバー・ダンス」、そしてキューバの「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」
世界にはまだまだ私も聴いたことのない音楽に溢れています。
また、このシリーズ続けられたらと思っています。
★野辺地ジョージさんの写真と、HolosMusicの音楽を融合させた極上の癒し動画を『婦人公論』公式YouTubeチャンネルで配信中