苦しみを経験してこそ他人の痛みに寄り添うことができる

とにかく、未来には元気で、幸せに、長生きをしてもらいたい。

その後、先生から「フェルラ酸」が認知症にはいいと聞き、早速購入して飲ませることにしたが、サプリメントなので、即効性はない。

少なくとも、数か月経たないと効果は表れないだろうし、効くのかどうかもわからないが、サプリメントを飲ませつつ、夜鳴きとは上手に付き合っていこうと心に決めた。

それにしても、私自身がベンゾジアゼピン系の薬でひどい副作用を経験していなければ、未来の副作用の症状にも「こんなもんなのかな」と納得し、薬を飲ませ続けていたかもしれない。パニック発作は死ぬほど苦しかったが、あの発作があったから未来の苦しみが手に取るようにわかったのだ。そう思うと、あのパニック発作にさえ感謝したくなる。

人は自分が苦しみを経験してこそ、他人の痛みに寄り添うことができるのだ。

犬の未来は「辛さ」を訴えることができない。飼い主の自分たちが、そのことをよく理解して、治療方法を決めなければならないと改めて感じた。

※本稿は、『うちの犬(コ)が認知症になりまして』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

 


うちの犬(コ)が認知症になりまして』(著:今西乃子/青春出版社)

すべての愛犬に訪れる「老い」にどう備えるか…17歳の超高齢犬・未来(柴犬・メス)との“ますます愛しくなる介護”をユーモラスにつづったエッセイ。認知症対策や介護の知恵、老犬と楽しく幸せに暮らすコツなど、「老いじたく」のヒントが満載!わんこ大好きなマンガ家・あたちたちさんの描き下ろし4コママンガも掲載。