ワンコと飼い主のQOLのバランスを取るということ

再び、動物行動学の獣医師の先生に相談すると「むずかしい問題だよね」と言い、こんなアドバイスを受けた。

「確かにベンゾジアゼピン系は依存性もあるし、副作用も多い。犬のことを考えるとどうかなあとは思うけど、人間のQOL(=生活の質)も大切だってことだよね。それを考えたうえで、薬も上手に使えばいいと思うよ」

つまり、犬のことを考えるあまり、飼い主が体調を崩したり、日常生活に支障をきたしたりするのも問題だということだ。飼い主が倒れてしまったら犬の世話もできなくなり、共倒れになってしまう。

「ワンコのQOL、飼い主のQOLのバランスを取りながら介護していくしかないと思う。そのうえで、飲ませるのか、飲ませないのかは、飼い主さんが判断すればいいと思うよ」

言われて真剣に考えた。

未来はまだ歩けるし、散歩だって行く。排泄だって自力でできる。その未来が、薬の副作用のせいで歩けなくなり、寝たきりになってしまうのは絶対に嫌だった。

もちろん、いずれは寝たきりになるだろうが、薬のせいでその時期を早めてしまうのは、未来にとって「どうなのか」ということだ。