安東さん「夫婦の問題はタイムラインで考える」(写真提供:Photo AC)
結婚生活のなかで不満が蓄積、果てに不倫や不仲が発覚し、どうにもならない……。そんなとき、多くの夫婦は諦めるか、別れるかといった究極の選択をしがちです。夫婦カウンセラーの安東秀海さんは、不倫やセックスレス等様々な問題を抱える夫婦を2000組以上サポートしてきました。カウンセリング事例をもとに、夫婦の、そして自分の人生との向き合い方を提示しています。安東さん「夫婦の問題はタイムラインで考える」と言っていて――。
相談内容
子づくりのための計画的なセックス以外は、夫に10年間セックスを拒否されてきた妻。さらに育児や家事へ参加を呼びかけるも無視され続けてきた。問題意識を提示してきたが常に曖昧にされ、セックスレスに関してはもう諦めているような状況。離婚した方がいいのかどうかで揺れているという。
相談者
長野久朗さん・真希さん(仮名)ご夫婦
夫は40歳で営業職、妻は38歳で専業主婦。7歳と2歳の子どもを持つ4人家族。

妻の態度が冷たくなり急に問題意識を持ち始めた夫

安東 10年間拒否されてきたということですが、今問題に感じていらっしゃるのはレスに関してですか?

長野真希さん(以下、敬称略) いえ、今は別れた方がいいか考えています。レスについては、もういいというか、10年間ずっと伝えてきて、でもほとんど無視で。今はもう好きでもなんでもないんで。

安東 そうなんですね、ずっと伝えてきて、でも久朗さんは取り合ってくれなかった?

真希 取り合ってくれないというか……「無視」ですね。聞いているのか、聞いていないのかわからないというか、その話になると空気みたいにスーッていなくなっちゃうんですよ。それで初めは、あれどうしたのかなって感じだったんですが、子どもは欲しかったみたいで、そこは妙に協力的で。でも二人目が生まれてからはもういいやって感じで。だんだん、そうか避けられているんだって気がついたんです。

長野久朗さん(以下、敬称略) いや、避けているわけじゃないよ。それに無視していたっていうのもちょっと違うじゃない。話は聞いていたし、こうして相談にも来ているし。

真希 聞いていた? あれで?

安東 久朗さんは真希さんの意見に、ちょっと違和感があるんですね? 話は聞いていたし、無視はしてない、と。でも真希さんは、無視されていた、と感じる?

久朗 はい。聞いていたつもりです。

真希 「聞いていた」といえば、そうかもね。でも「聞き流していた」じゃない、ずっと。離婚を持ち出されて焦っているだけでしょ? 先生、この人、体裁が大事なんです。だから離婚したくなくて。

久朗 またそんな風にいうけど、体裁が大事なわけじゃないから。子どもたちのためにもそんなに簡単に離婚なんてできないだろ?

真希 そんなに簡単? 私がそんなに簡単に離婚って言ってると思ってる? そうよね、あなたからみたら何が問題かもわからないでしょうね? だから私の話も聞かなかったのよね。