なぜ私たちはメイクするのか?振り返り
その日を境にして、今夏、化粧をすることに甚だ疑問がわいてしまった。あなたも考えてみてほしい。自分がなぜ化粧をするのかと。マナー、気合い入れ、趣味、女性としての矜持。さまざまな理由がそこには並ぶと思う。共通事項としては「可愛くなりたい」「きれいになりたい」という願望があるはずだ。母親のドレッサーの前にこっそりと座って、口紅を塗っていたあの頃。化粧を魔法のように感じていたし、それは間違いではない。
実は昔、私は女性ファッション雑誌のライターとしてページを作っていたことがある。担当していたのは、美容企画。毎月膨大な美容情報をインプット、アウトプットを10年以上、繰り返していたので、いまだに少しだけ詳しいと自負がある。その観点から探っても、化粧をしてからキープミストをかけずに保持できるのは、ほんの4~5時間程度だ。
メイクアイテムは物理的に、耐熱性を目的に作られているのではなく、あくまでも美しさを纏わせることが本来の目的。そもそもファンデーションも、アイシャドーも、アイラインも灼熱の都会を設定して開発、製造はされていない。そうなると私たちが毎朝当たり前のように行っている化粧と、夏は完全にミスマッチ。自宅を出て、1時間以内には崩壊がスタートする。そこにかけている時間とは、一体なんだろう? なんだか大仰な言い方になってきてしまったが、日々化粧にかけている時間でできることは数多くある。