(撮影:婦人公論.jp編集部)
NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子さんによる『婦人公論』の新連載「老いの実況中継」。91歳、徒然なるままに「今」を綴ります。第7回は、【低栄養からの復活】です──。 (イラスト=マツモトヨーコ)

「あれ? 今日はなにを食べたかしら」

今、我が家のダイニングテーブルにはこんなメモが置かれています。

○月○日 夜
麻婆豆腐丼、牛乳、茹でたイカ

○月○日 昼
鶏肉ソテー リンゴソースかけ

ニンジンのめんたいこ和え

しらたき、ピーマン、蓮根の炒め物

ミニトマトとアスパラガスのサラダ

この日のランチメニューが充実しているのは、お料理上手なシルバー人材センターの女性のおかげです。週に2回来てもらい、おかずのつくり置きもお願いしているので、それと娘が買ってくるお惣菜で日々の食事をまかなっています。

メモを書くようになったのは、娘に命じられたから。夜遅く仕事から帰ってきた娘から、「今日はなにを食べたの?」と聞かれ、「あれっ、なんだったかしら」と思い出せない日があったので、業を煮やしたのか――。「食べたものをメモしておくように」と言い渡されました。

私は80代半ば頃、低栄養と貧血になったことがあります。自分で料理をするのがおっくうになり、食も細くなってきたので、1人のときはクッキーやパンで済ませることも。ですから娘は心配し、きちんと食べているかどうかを確認してくれるようになったのでしょう。ちょっぴり面倒ではありますが、今のところ真面目にメモ書き。実際に、親子関係と私の健康管理に役立ってくれています。  

ご同輩も「昨日はなに食べたっけ」という場面が増えておられる頃でしょう。なんでも「前の日に食べたものを思い出せないのは単なるもの忘れ。食事したことを思い出せないのは認知症のサイン」だとか。ですからまぁ、年相応のもの忘れだろうと、私はあまり深刻には考えていません。