『八月の鯨』で目の悪い姉役をやっていると
2013年、老姉妹の日々を描く『八月の鯨』の稽古中のこと。目の悪い姉役をやっていた奈良岡さんが、「みんな同じ音程で台詞を言うと、誰がどの台詞を言っているのかわからないじゃない」と言い出しました。
目が悪い設定ではあるけれど、目は開けているんですよ。「だいたい、ダレソレはどこにいるのよ!」と、すごい剣幕。私が「え?ですからお隣に……」と言ったら、「そんなこと、わかるわけないじゃない!私は目が見えないのよ!」。
繰り返しますが、目を開けているんですよ。当然見えているとこっちは思うじゃないですか。奈良岡さん、ついにボケちゃったかとびっくり。思わず「目ぇ開いてるし、見えているものだとばかり……」と、まともな発言をしてしまった。(笑)
そうしたら奈良岡さん、さすがに自分が変なことを言ったと気づいたらしく、黙ってしまいました。そこまで役になりきっていたんでしょうね。