父・三國連太郎さん(左)と共演した映画『美味しんぼ』(96年)を撮影していた頃の1枚(写真提供◎佐藤さん)

父を勝手に見て勝手に解釈して

しかしその後すぐに頭角を現して、1981年の映画『青春の門』(蔵原惟繕・深作欣二の共同監督)では日本アカデミー賞の新人賞を受ける。

――あと、ブルーリボンの新人賞もね。それで思い出すのは、小学生の頃まで住んでいた家の居間には三國が獲った数々のトロフィーが飾ってあったんですけど、それがある日から全部地下室に放り込まれて姿を消したんです。

賞はありがたいものだけど、それは過去に対する評価であって、明日を約束するものじゃない――という意味なんだろうなと僕は勝手に解釈した。

だから僕も賞状やトロフィーは自宅に飾らないし、教えたわけでもないのに息子の寛一郎も同じようにしていますね。

本当に「三つ子の魂百まで」ですよ。三國連太郎は僕の中にいろんなものを植えつけていったんですね。それをいつの間にか踏襲してる。彼は僕に何かを教えようとしたことは全然なかったから、勝手に見て勝手に解釈しただけ。だからこんなひねくれた役者になった。(笑)