井上先生「入眠困難は特に年齢には関係なく、若い人にも高齢者にも見られます」(写真提供:Photo AC)
なかなか寝つけない…、途中で何度も目が覚める、といった睡眠不足が原因で疲れがとれず悩んでいる方もいらっしゃることでしょう。「睡眠不足によって重大な病気を招くことがあるだけでなく、ぐっすり眠れない背景には危険な病気が潜んでいることもある」と語るのは、睡眠総合ケアクリニック代々木理事長の井上雄一先生。井上先生「入眠困難は特に年齢には関係なく、若い人にも高齢者にも見られます」と言っていて――。

Q:寝つきが悪く、横になってから1時間以上眠れません……

A:寝床に入ったものの、なかなか寝つけないタイプの不眠を「入眠困難(障害)」といいます。

一般に、布団に横になってから30分以上経っても眠れない状態が慢性的に続く場合は、入眠困難と判断されます。

せっかく寝ようとしているのにいっこうに眠くならず、何度も寝返りを打ったり枕を整え直したりして眠くなるのをじっと待っているのはつらいものです。寝つけないままどんどん時間がすぎるため、たびたびトイレに起きて余計に目がさえてしまうこともあります。

こうした状態が何日も続くと、“今夜もまた寝つけないかもしれない”と思うようになり、それが不安やあせり、ストレスとなってますます寝つけなくなるという悪循環に陥ることも少なくありません。

入眠困難は特に年齢には関係なく、若い人にも高齢者にも見られます。

主な原因としては騒音や寒暖など環境要因によるもののほか、働いている世代では重要な仕事を抱えているといったストレスや職場の人間関係、自分自身や家族の悩みごとなどの不安や精神的な緊張が原因となっていることが多いようです。

うつ病などのこころの不調が関係していることも考慮すべきです。寝つきの悪さだけでなく、意欲の低下や食欲不振といったほかの症状や異変がないかチェックすることも大切です。