喪服はレンタルがおすすめ

友人Sは、お父様が亡くなってから慌てて喪服を購入しに走った。お母様の葬儀の際に誂えた若い頃の喪服は、丈が短すぎて着られなかったそうだ。

「伊勢丹のぞいたら、ジャケット十万円とかで。高すぎて無理~と言いながら丸井へ行って。ワンピースとジャケットのセットで、二割引セールで五万円ぐらいだったかな……漆黒の最新素材で」

とS。とてもきちんとしていたし、美しかった。やはり、喪主としてはきちんとした格好をして送り出してあげたいという気持ちがあるのだ。

それでも五万。不況、物価高のいま、痛い出費ではないか!

私は思う。葬儀はそう頻繁にはない。十年に一度、二十年に一度となると、サイズが違って着られなくなるから、いいものを誂える必要はないと。都会暮らしだと収納しておくスペースもないから、レンタルで充分ではないかと。

葬儀はそう頻繁にはないし、サイズが違って着られなくなるから、喪服はいいものを誂える必要はない(写真提供:Photo AC)

レンタルの中には、夕方四時までに注文すれば翌日発送、五千円以上で送料無料のものもある。サイズのバリエーションも豊富で、ジャケット、ワンピース、バッグ、数珠、袱紗、ネックレス、イヤリングのセットでも一万円以内で収まる。

ネットで検索すればいろいろ出てくるだろう。そして葬儀の前はバタバタするので、最早これでいいのではないかと思う。

※本稿は、『親を見送る喪のしごと』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。


親を見送る喪のしごと』(著:横森理香/CCCメディアハウス)

親を見送る世代の「大人女子」は、自分自身も気力体力が衰えはじめ、病気になる人も。親の死はただでさえ参ってしまうものなのに、そこへ畳みかけるようにくる様々な手続きはあまりにも膨大で、期限付きのものも多く、めくるめく試練のようなもの。いよいよに備える時期から、葬儀、相続含む様々な手続き、法事、遺品整理、実家の整理、墓問題まで著者の体験のほか、経験者、専門家にもお話をうかがい、大人女子が体験してきた「喪のしごと」についてまとめました。各所には「豆知識」も入れ、実務的な面もサポート。読み物としても、実用的な面としても、知っておいてほしい1冊です。