もしこのままできなかったら…

真衣さんはあと10年くらい、こういう努力を続けたいと思っている。それは「産みたい」という将来への憧れもあるからだ。でももし、タイムリミットの10年が過ぎてしまったら、真衣さんは、どうするつもりなのだろう。

「契約結婚……。ビジネス的なカンジがしますけど、もしこのままできなかったら、そういうのもありなのかな? って思います。」

『大人処女ーー彼女たちの選択には理由がある』(著:家田荘子/祥伝社新書)

真衣さんは、他の女に逃げられるのは嫌だと嫉妬している。ならば、真衣さんには性欲というものが存在するということなのだろうか。男の人の体が欲しくなったり、欲求不満になることはなかったのだろうか。

尋ねてみると、真衣さんは「ない」と軽く言い切った。

「苦痛だけで、その良さを知らないから、『したい』って思うこともないんです。そういうAVを観た時に、(自分ができたら、こんなカンジなのかな?)と夢見たことがあるんですが、その気持ち良さが想像できないんです。電車のなかや、混んでるお店のなかで、(ここにいる皆ができてるんだから、私だって)と思うことがあるんですけどね。できてる人たちとできない私とどう違うんだろう……。世の中にセックスというものがなければ、こんなに悩まなくてもすむのに……」

そこまで悩んでも、真衣さんは男性のことがイヤになることはなかった。むしろ多くの「試し」に協力してくれた男性たちによって、男性観が変わったそうだ。

「自分が思ってたほど、やりたがる男の人ばっかりじゃないんだな、話せばちゃんと理解してくれる人もいるんだなってわかったんです。私はできることが当たり前と思ってる男性ばっかりと思ってましたけど、印象がいいほうに変わりました」

しかし、相手が真衣さんでなく自分の彼女や妻にしたい女性だったら、協力してくれた男性たちは、どう出ただろうか……。疑問は残ったが、私は真衣さんに言えなかった。