国際結婚はうまく続いてない例が多い

アメリカ人の夫と結婚した友人はたくさんいるが、私の知る限り、国際結婚もあまりうまく続いてはいない例が多い。

一人の友人の夫は、教養があり、したがって日本とはどんな国かということを、学者並みに知っている。

曽野綾子さん「ほんとうに日本人の表現というのは特殊だと思う」(1998年10月撮影。写真:本社写真部)

日本語もでき、日本の伝統的な文化にも充分触れて、その中でいい家柄の出である彼女を選んだ。決して進駐した国の街角で出会った娘と電撃的に一緒になったなどというのではないのである。

しかしそういうのでも長く続かない。20年以上も結婚生活が続いたあげく、夫には同国人の、つまりアメリカ人の愛人ができた。

「私は彼が日本についてはかなり深い知識を持ってたから、私が日本風にふるまっていても大丈夫だと思ったの」と彼女は私に言ったことがある。

「日本人って表現があまりオーバーじゃないでしょう。ほかのアメリカ人なら、主人が出かける時、うんと淋しいって言うんだろうと思うの。私も淋しくないわけじゃないけど、日本人だからにっこりして『じゃ、行ってらっしゃい。気をつけてね』って言ったのよ。

私、長い間それで、主人はわかってくれている、とばかり思ってたのね。でも彼はやはりアメリカ人だったんだと思うわ。それじゃ淋しかったんでしょう。今度の人なら、そういう時、やっぱり彼が嬉しいように言ってあげられるんだと思うわ」