けいこ その後、チューリップ45周年のツアー中、大腸がんが見つかったときも大変だった。コンサートも中止して……。治療もつらそうだったし、本当に心配だったよ。
和夫 デビュー以来ずっと忙しく、無理もしてきたし、神様に「ちょっと休め」と言われたのだろうと、病気も素直に受け入れたよ。
けいこ 回復して、今はすっかり健康そうでよかった。
和夫 ご心配をおかけしました。
けいこ もうデビュー50年でしょう。こんなに長く続けているのってすごいと思う。それも、ずっと応援し続けてくださってるファンの方たちのおかげね。
和夫 感謝、感謝ですよ。ステージからは、前から10列目くらいまでの席がよく見えるけど、最近は中高年男性がいっぱい。いや、老年か。若かりし頃は女性ファンが多くて、男性は「チューリップが好き」というのを恥ずかしがって隠してた(笑)。今は、会場に男性も女性もいますよ。その方がお子さんやお孫さんを連れて来てくれたり。
けいこ 観客の方と一緒に歌ったりするんでしょう。
和夫 若い頃は調子に乗って、「聴かせてやろう」くらいの気持ちだったけど、今は一緒に歌うことがありがたい。声が出ないところを助けてもらったりね。正直言って、この年齢だから、音楽的な表現が若い頃のようにうまくいっているかどうかわからない。
だけど、それを超えたところで客席との絆を感じるし、昔とはまた違う、時間をかけて熟成させたモルトウイスキーのようなコンサートになっているよね。
けいこ そうして形が変わっていくのも、ファンの方たちと歩んできた長い道のりがあってこそ。
和夫 50年続けてきた甲斐があったというものです。
けいこ それで、今後はどうしていくの?
和夫 実は、50周年記念ツアーのアンコール公演で全国を回ることにしたんだ。ありがたいことに、多くの方から「もっと続けてほしい」という声をもらったんだよね。マスクを外してコンサートに参加できる時が来るといいなと思うし。
ただ、やっぱりチューリップとしてのコンサートツアーはこれで最後にしようと思っている。これは体力的な問題。移動が多いから、すごく疲れる。もう75歳でしょ、大変なんだよ。同窓会的に、「みなさん、またお会いできましたね」くらいの単発のコンサートならすることはあるかもしれないけれど。
けいこ お父さんは仕事が生きがいみたいだし、どういう形であれ、音楽活動はこの先もずっと続けていってほしいなあ。
和夫 もう〈じじぃ〉だからね。人生も最後のほうになってきたし、うんとワガママになって、好きなことをして、じじぃの人生を楽しみたい。