私が大好きになる人は、どうしてなのか、小さい頃から年上の人ばかりだった。年上も年上の、学校の先生だった。
 そう、先生。教師。
 初めて意識したのは小学校四年生のとき。四年生から六年生までずっとクラス担任だった吉住(よしずみ)先生。吉住直人(なおと)さん。名前はもちろん、その姿も笑顔も何もかもはっきり覚えている。
 四年生だから、十歳かな。十歳の私が好きになったのは、その当時で三十歳だった吉住先生。いい先生。
 でも、今になって考えたら、どうかな。男性としては少し頼りない人だったかもしれない。
 もちろん告白とかそんなことを考えるような年齢じゃなかった。
 今、教師になって子供たちのいろんな流行とか傾向とか、様々なことを考えるようになって思うと、今の小学生たちは私たちのときよりも、ずっと大人になっているんじゃないかと感じる。
 大人になっているというのは、恋愛とかそういう方面だけに限るんだけど。
 マスコミというか、マンガとかテレビの影響があるんだろうなぁと思う。私たちの世代もそういうふうに言われていたと思うけれど、今の子供たちはもっと顕著になってる。ましてや、高校生を教えている今は、そういう方面の、悪い言葉で言えば毒気に当てられることも多い。
 中学に入って、やっぱり先生を好きになった。一年生のときの担任の山本郁(やまもといく)先生。その当時で二十七歳。
 もっとも、山本先生はものすごく恰好良(かっこい)い男の人で、まるでアイドルスターみたいな顔をしていて、女子たちに大人気だった。
 私もその一人だったんだけれど。
 でも、顔で好きになったわけじゃない。やっぱりとてもいい先生だったからだと思う。人柄、そして包容力みたいなもの。
 年上好みって言ってしまうとなんかあれだけれども。
 だから、生まれてから三十五年経ってしまったけれども、好きになる男の人は、尾道くんを除いて全員が年上。
 それも、かなり上。
 そんな話は、誰にもしたことないけれど。