新しい家で、自分らしく

建て替えのときに娘から、「荷物を半分捨てるように」言われたんですよ。過去の自分の人生を捨てるようで、捨てられるものが哀れで……引っ越し応援団とともにやっと3分の1ほど減らしましたが。ひとりだったらとてもできなかったでしょうね。

いくら税制上有利とわかっていても、虎の子の貯金が減ると心細さも募って、一時、金欠うつにもなりました。

『老いの地平線 91歳 自信をもってボケてます』(著:樋口恵子/主婦の友社)

新しい家に住んで、もう7年。書棚はいっぱいで段ボール箱も積み上げられたまま、片づくメドもつきません。でもすきま風なく、冬暖かく、夏涼しく、それは本当に快適です。

疲れたらすぐに横になれるように書斎と寝室をひとつづきにしたんですよ。部屋のすぐ近くには風呂場とトイレも設けて。

エレベーターや手すりをつけて、バリアフリーの家にしてあるので、この家で自分らしい人生を懸命に生き続けたいと思っています。そしていよいよ家で暮らせなくなったら高齢者施設(有料老人ホーム)に移り、介護を付ける選択肢も。